資金繰り㊶ 実質無借金経営を目指す
無借金経営と実質無借金経営は、似ているようで全く違うものです。
2つの会社を例にとって考えてみます。
単位:万円 | |||
預金 | 借入金 | 正味資金 | |
A社 | 100 | 0 | 100 |
B社 | 500 | 400 | 100 |
A社、B社ともに正味資金は、100万円です。
どちらも同じですが、いま使える資金はいくらかとなるとまったく違います。
A社は、100万円で、B社は、500万円となります。
もし、この状態で新規事業を始めるチャンスが到来した場合、その事業に投資できるのはB社となり
ます。
A社は、ギリギリの状態で経営をしているため、新規事業に投資をしようにも投資するだけの資金が
ありません。
すぐに融資を受けられるとも限らないため、せっかくのチャンスを逃してしまいます。
また、ギリギリの資金で経営をするということは、常に資金繰りに追われることとなります。
経営者が資金繰りに追われると本来の経営ができなくなると同時に心にも余裕がなくなり、正常な判
断ができなくなります。
上手く銀行とお付き合いをして常に一定額の借入金を保有している会社の経営者と借入をするのは嫌
だからとギリギリの資金で会社を経営している経営者の方とは、会社の業績はもちろん従業員に対す
る態度などすべてにおいて違いがあります。
正味資金が同じであっても無借金経営と実質無借金経営は全く異なるものとなります。
安定した経営を続けて行けるのは、常に一定額の借入金を保有している実質無借金経営です。