資金繰り㉞ 出資

会社の経営が行き詰まるときは、資金が無くなったときです。
黒字でも資金が無くなれば、経営を続けられなくなります。
俗にいう「黒字倒産」です。
逆に赤字であっても資金さえあれば経営は続けられます。

中小企業の資金調達手段は、「出資」か「融資」のどちらかになります。

今回は、「出資」についてお伝えします。

中小企業への出資は、経営者もしくは経営者の親族などからの出資が主なものとなります。
経営と株主がほぼ同一である中小企業への出資は、上場会社のように第三者からの出資を受ける
ことが難しいので、経営者や経営者の親族が主なものとなります。

出資と融資との違いは、出資は、返済の義務や経営者が連帯保証人になることがない点です。
返済の義務がないため、出資金を受け入れると返済を気にすることなくそのまま資金を使えるので
資金繰りが安定します。
さらに、経営者の個人保証がないので、経営者個人のリスクが軽減されます。
設立当初、少ない資本金で会社を設立したものの、融資を受けるまでに資金が不足しそうな場合に
役員から借入をするよりも出資とした方が有効です。

ただ、資金が厳しいときに毎回出資で資金調達することは現実的ではありません。
資本金が膨らんでいくことや株主が多くなり株式が分散もしくは株式の過半数を経営に携わる方以外
の方が持つことになる危険性や経営に口を挟まれるなど課題が多く残ります。
実際に、古くから続いている会社で株主が親戚一同となっていた会社は、株主総会を開くたび、ある
株主が必ず反対意見を述べなかなか決議がまとまらないといったことがあります。
特に社長が退任する際の役員退職金の株主総会の決議について、なかなか賛成してもらえず、説得を
するのが大変だったということもありました。
親戚一同が株主であると、持株割合での議決権などは関係なく、いかに後々までしこりを残さないよ
うにするかに重点が置かれます。

中小企業の資金調達手段としての出資は、設立当初などは有効ですが、それ以外では限定的な方法と
なります。