資金繰り㉜ 役員貸付金 ①
役員貸付金が計上されている会社は、概ね資金繰りが厳しいです。
今回は、役員貸付金がどのようなものかをお伝えします。
役員貸付金は、役員が会社のお金を私的に流用した場合と会社からお金を借りた場合に計上
されます。
特に株主と経営者が同一人物で、「会社のお金は自分のお金」という感覚を持っている方の
会社で計上されているのをよく見かけます。
「自分の会社のお金をどう使おうが自分の勝手だし、税金に持っていかれるくらいなら自分
で使った方がいい」、「知り合いは、個人の飲食代も全部経費に落としている」というお考え
の方が多いです。
また、法人カードを気付かないうちに私的に使用している場合もあります。
個人カードと法人カードを一緒に持ち歩いているため、どっちがどっちのカードが分からなく
なり法人カードで個人のものを買ってしまうケースです。
「会社のお金は、10万円以内なら何に使っても構わないと聞いたことがある」と言われたこと
もあります。
10万円どころか会社のお金は、1円足りとも個人で使っていいものではありません。
領収書さえあれば全て経費になるのではなく、個人で使用するものや個人の飲食代は経費とならず
、役員貸付金として資産に計上します。
そして、法人は、営利を目的としているため、無料でお金を貸すことはできません。
お金を貸したら利息を請求しないといけないようになっています。
会社からお金を借りると利息を会社に支払わなければなりません。
役員貸付金とせず、個人の飲食代などを経費に計上した場合は、法人税法上は、「役員賞与」
として課税されます。
税務調査で発覚した場合は、法人税と所得税のダブル課税となり、かなりの痛手となります。
銀行から借入がある場合や借入をしたい場合もマイナス要素となります。
貸し付けた資金が経営者へ流れることが分かっている場合に銀行は資金を貸してくれません。
会社のお金は、会社のお金です。
役員貸付金を計上することによるメリットはありません。
公私混同することなく、税金を払った方が会社にお金は残ります。