悲しみとうつ(鬱)

多くの方は、深い悲しみに襲われているとき、幸せそうな人を見るのが辛く、他人との付
き合いに興味も持てなくなり、心配してくれている人がいても心を閉ざし自分の殻に閉じ
こもってしまいます。

一般的な悲しみは、人それぞれ期間は異なりますが、一定期間が過ぎるとまた通常の生活
に戻ってこれるものです。
グリーフケア専門士によると配偶者を亡くされた方は、おおむね4年かかるそうです。

しかし、この一定期間を過ぎても元の生活に戻れない場合は、「うつ(鬱)」状態と判断
されます。

悲しみを癒すということは、大切な人を失ったことにより、「何を失ったか」を知ること
であり、その人が自分にとってどんな意味を持っていたのかを見出す作業だと言われてい
ます。
こうして失った人が自分にとってどんな意味を持っていたのかを見出せると、その人のい
ない人生を生きてゆく心の準備ができます。

グリーフケアで喪失を癒していく過程の中には、「怒り」という過程があります。
亡くなった方への怒りを自分に向け自分を責めてしまうことです。
この自分を責めすぎず、自分を大切に思える心が回復してくると、失った人が自分にとって
どんな存在だったかが分かってくるそうです。
ここが悲しみを癒すための大切なポイントとなり「うつ(鬱)」との分岐点となります。
亡くなった方への怒りを自分へ向けることにより、「誰を失ったか」は分かっていても、
「何を失ったのか」分からなくなり、その先の作業へ進めない場合は、一定期間を経ても
元の生活に戻ってこれなくなり「うつ(鬱)」状態となります。

私の母も鬱なのか一般的な悲しみなのか、当初は区別が付かず、とても心配になりました。
心療内科の診察では「鬱」ではないとの事でしたが、今もまだ深い悲しみの中にいるので
まだ分岐点を通過していないように思います。

ケア

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