資金繰り㉖ 役員報酬未払金と源泉所得税
資金繰りが厳しいと毎月の役員報酬を「未払金」として処理することが多くなります。
この役員報酬の未払金に対する源泉所得税について気を付ける点があります。
源泉所得税は、実際に支給を受けたときに差し引きます。
未払であれば支給を受けていないので、源泉所得税を差し引かなくてもよいことになります。
しかし、役員報酬の未払金計上が長期に渡り、手元に余裕資金ができたときに少しずつ支給
するといった場合、源泉所得税の計算はとても複雑なものになります。
役員報酬未払金の管理表などもなく、数年間未払金計上を行っていて、その時々で一部を支
払っているような場合は、どの時期の役員報酬をいくら支払ったのか分からなくなります。
このようなケースにならないよう、実務上は、役員報酬を一旦支給して、すぐに会社へ貸し
付けたという形式が多く使用されています。
未払いではなく、支給をしているので、源泉所得税は、その都度計算して納付することとな
ります。
ただし、上記に限らず、資金繰りが厳しいから長期間役員報酬を未払金計上している、源泉
所得税も納付できないという場合は、そもそも役員報酬額を見直す必要があります。