資金繰り⑳ 貸付金
資金繰りが厳しい会社の決算書に「貸付金」が計上されているケースがあります。
代表的なものは、「役員貸付金」、「関係会社貸付金」、「従業員貸付金」です。
それぞれが発生する代表的なケースは下記の通りです。
「役員貸付金」→代表者の方の私的な費用を会社で支払っている
「関係会社貸付金」→関係会社が銀行から融資を受けることができないので援助している
「従業員貸付金」→住宅を購入するためなどの資金を貸し付けている
事業用のお金がこれらに流れていると資金繰りが厳しくなります。
以前、関係会社が融資を受けることができないので、代わりに銀行から融資を受けてそのま
ま関係会社に貸し付けている会社がありました。
やはり、資金繰りが厳しかったです。
融資を受けて本来ならば運転資金に回せるものをそのまま関係会社へ資金が流出し、関係会
社から毎月の返済額を回収できればいいですが、それもままならない状態だと返済だけを行
うことになります。
また、資金繰りが厳しくなるほかに気を付けなければならないことがあります。
金融機関から借入がある場合です。
まず、会社の評価が下がります。
「貸付金」が返済される見込みがないものであれば資産価値がないものとみなされます。
資産価値がなければ決算書の総資産額から差し引かれます。
総資産額が小さくなると返済能力も小さくなるとみなされるので評価が下がります。
そして、金融機関は、貸したお金の資金使途を必ず確認します。
融資を申し込む際の資金をどのように使われているか確認し、もし、違う形で資金が使わ
れていると判明した場合、金融機関からの信用がなくなり、新規の融資を受けることが難
しくなったりします。
前出の関係会社へ資金を融通していた会社は、決算書にかなり神経を使っていました。
資金が本業と関係がないところで流出すると、資金繰りが厳しくなるのはもちろん、金融機関
からの評価も厳しくなるので、できる限りこのようなケースは避けることをお勧めします。