資金繰り⑭ 換価の猶予と納税の猶予
資金繰り⑩ 支払いの順番でお伝えした国税の納付を猶予してもらう手続きについて
もう少し詳しくお伝えします。
資金繰りが厳しくなってくると、税金の納付が難しくなってきます。
特に、消費税や源泉所得税など「預かっている税金」の納付が難しくなってきます。
消費税や源泉所得税は、「預かっている税金」なので、本来ならば手元に残っているは
ずですが、資金繰りが悪化してくると事業用資金として流用してしまい、納付期限までに
納付することができないということになります。
新型コロナウイルスによる特例猶予制度で猶予された国税は、1兆5,176憶4,700万円で
その約60%の9,000憶円が消費税及び地方消費税となっています。
国税を納付期限までに一時に納付できない場合に検討する制度して、「換価の猶予」と
「納税の猶予」という制度があります。
どちらも原則として1年以内の期間に限り、猶予が認められる場合がある制度です。
それぞれの制度を簡単に説明すると、「換価の猶予」は、税金を一時に納付することで事業
の継続や生活を維持することが困難になるおそれがある場合などで使用できる制度です。
「納税の猶予」は、災害や事業の廃止、納期限から1年以上経過した後の修正申告などによ
り納税額が確定した場合など使用する理由が限定されている制度です。
税務署の元徴収課で勤務されていた方は、「納税が難しい場合は、とにかく一度窓口へ相談
に来てほしい。そうすれば、納付相談にも乗ることができる。税務署からの督促などを無
視し続けることは何の得にもならない。」と仰っていました。
実際、県税などは、督促を無視していると容赦なく預金を差し押さえてきます。
国税よりも県税などの地方税の方が厳しいという印象があります。
納付が困難な場合は、徴収課に相談へ行き、納付の意思があることを示すことが大切です。